ルイ・ヴィトンは、前シーズンのユニセックスなワーク調から、がらりと趣を変え、パンチの効いたフェミニンなスタイルを並べた。会場は、ルイ・ヴィトンがレディースのショー会場としてよく利用するルーブル美術館内。古い彫刻美術作品が並ぶ部屋をモデルが歩いた。
新作は、たとえば、クラシックなテーラードやアウトドアジャケットに、きらきらと輝くインナーや裏地と、オートクチュールのドレス風のチュールのバルーンスカートの組み合わせ。アンティーク調のビーズ刺繡(ししゅう)やパッチワークなど手の込んだドレスもある。華麗なスタイルに新鮮さを与えたのが、イタリアのアート工房「フォルナセッティ」による、古代の彫像の手描き柄のプリントや刺繡(ししゅう)だ。
アウターはぶかぶかのビッグサイズ。赤や黄、青など鮮やかな色がポイントとなっている。ストリートとエレガンス、光沢とマット(つや消し)、現代と古代など、相反する要素を大胆に共存させた。
デザイナーは、フランス出身のニコラ・ジェスキエール。ジャンポール・ゴルチエなどのアシスタントを経て、1997年に20代半ばでバレンシアガのデザイナーに抜擢(ばってき)され、老舗ブランドを再興したとして知られる。2013年から現職。ルイ・ヴィトンでは、「着る人のワードローブに加えていくような服」を目指している。今回も単品の重ね着の提案が多く、そうした意図が感じられる。(編集委員・高橋牧子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル